偽りの結婚
私だって偽りと言ってもランカスター王家に身を置くものとして、妃の評判がどこに向くかなんて分かっている。
ただでさえ伯爵家上がりなのだから、そういった陰口をたたかれるような不安の種は無くしたい。
私は慣れているから良いけれど、ラルフやお父様、お母様にご迷惑はかけられないわ。
そんな私の答えに、「んー…」と納得のいっていないソフィアの声。
「けれど、それは愛されているってことでしょう?」
ニッコリと笑ってそう言ったかと思えば、ふっと表情が曇る。
「……こうして王子と妃として皆から認められている関係が羨ましいわ」
儚げな表情のソフィアから出たその呟きに言葉を失った。
この人からラルフを取り上げたのは私。
きっとこの状況はとても辛いだろうと思う。
それなのに私ったらソフィア様の想いも考えないで…
ソフィア様も陰から厭味を言うような人だったらこんなに苦しまなかったかもしれないのに。