偽りの結婚




「料理長に迷惑となるようなことはしませんから」


苦い表情で「しかし…」と、渋っている料理長。




「なるべく簡単なものにしますから!」

「シェイリーン様がそこまで仰られるなら…」


結局、料理長が折れる事でこの場は収拾した。




「ありがとうございます!」


嬉しくてパァ…と、満面の笑顔で感謝の言葉を述べると、周りでいきさつを見守っていた厨房のスタッフたちも動きを止め、驚いた表情をした。

料理長もしばし固まっていたが、やがて朗らかな笑みを浮かべ話し始める。




「シェイリーン様のそのような表情は初めて見ました。どうぞ、調理場は好きに使ってください」


先程まで焦った様な表情で調理場に入ることをしぶっていた料理長が、一変してにこやかに言う。

周りのスタッフたちも、何故か皆嬉しそうにニコニコとしていた。



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