偽りの結婚
「ちょっとくらいは大丈夫だ。それより、朝早く部屋を出て行った成果はあったかい?」
「ごめんなさい、王宮の人手が足りていないみたいで、誰も捉まえられなかったわ」
辛いはずなのに心配させないように笑いかけるラルフに、申し訳なさそうに口を開く。
そうすると、意外にも落ち着いたラルフの返事が返ってくる。
「そうだろうと思った。大方、夜のパーティーの準備でもしているのだろう。言おうとしたが、君の足の方が早かったからね」
「すみません…」
ククッと笑いを堪えたようなラルフに、かぁ…と耳まで真っ赤にして俯く。
先走りして一人で焦っていた自分がとても恥ずかしかった。
「はは…良いよ。それで?使用人の部屋に行っただけで何でこんなに時間がかかったんだ?」
さすがラルフ、熱でぼんやりしているはずなのに頭が切れる。
「あっ…それは、これを作っていたからなんです」
ラルフの鋭さに若干焦りつつも、厨房で作ってきたものを差し出す。
それは、手の平におさまる程の器に入ったもの。