偽りの結婚
「いいや、食べるよ。ありがとう、シェイリーン」
そう言って笑ったラルフにドキッと高鳴る鼓動。
それは、今まで見せてきた笑顔とはまた別な笑顔だった。
蕩けるような笑みには変わりないが、今の笑顔は何だか今にも泣き出しそうな笑顔で、胸がキュッと締め付けられるよう…
「いっ良いのよ、気にしないで。ラルフも前に私が熱を出した時に作ってくれたでしょう?」
頬をほんのり赤く染めて、一気にまくしたてたことは、自分が風邪を引いた時のこと。
しかし、私の言葉に「何でそれを…」と、今度はラルフが頬を染めている。
「僕が作ったと誰から聞いたんだ?」
手で口を覆い、顔を赤く染めながら私に尋ねる。
「モニカからだけど…」
聞いちゃいけない事だったのかしら。
「余計なことを」
チッと珍しい悪態をつきながら一言呟く。
それをモニカが責められていると感じた私は焦って口を開く。