偽りの結婚



「せっかくラルフが作ってくれたのに、食欲がなくて食べられなかったんだけれど…嬉しかったわ」


あの時、夜中に起きた時に食べれば良かったと今でも後悔していた。





「そう言えば、食事を口にしなかったから薬も飲めないで、治りが遅かったんだったな」

「ご迷惑をおかけしました」


懐かしげにそう話すラルフに申し訳なさ過ぎて謝罪以外何も言えない。





「いいや、おかげで良いものが見れたからね」

「……?」


良いものって?

私が眠っている間になにかあったのだろうか…




「なんでもないよ。それよりも、これをいただくよ」


私の訝しげな表情をその一言で片づけ、すりおろした林檎を食べ始める。




「うん、おいしい」


すりおろしだけの林檎だし、味も変わるわけでもないのに、ラルフはそう言う。

嬉しそうにニコニコしながら食べるラルフに、何故かこちらの方が恥ずかしくなる。






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