偽りの結婚
「今日は弱音を吐いてばかりだ。どうしたんだろうな」
ラルフも自分の変化に気付いていたのか、そんな自分に参っている様子。
目を閉じたまま呟くラルフの姿は、まるで自分を責めているようだった。
「風邪を引いて熱を出しているんですから、弱音も出て当然です」
誰だって、弱っている時は弱音を吐きたくなるものだ。
しかし、ラルフは私の手をギュッと握ったまま口を開く。
「けれど、僕は王子と言う身分だ。いつも皆が思う完璧な王子でいなければいけないんだよ」
「今日は公務はないんでしょう?それに、今は私しかいないわ」
ラルフの立場を思えば、そう考えるのもおかしくはないが、風邪のときくらいゆっくり休んで欲しい。
そう願って、ラルフを説き伏せる様に優しく、ゆっくり話す。
すると、ラルフは固く閉じていた瞳を開き、こちらを訝しげな表情で見つめる。
「君は、完璧なラルフ・ランカスターでなくとも良いのか?」
真剣な表情で聞いてくるラルフに、笑いが込み上げてくる。