偽りの結婚
むしろ、親友を盾にとられ、好きでもない男と結婚させられて可哀想に…と思っているかもしれない。
ソフィア様が私の心の変化を知ろうはずがない。
けれど…例え、他意はなかったとしても私には辛い一言だった。
瞳の奥から熱いものが込み上げるが、そんな資格は自分にはない。
だってラルフは私のものではないから…
伝えていなかったらどうなのか。
否、どうもない。
ラルフにとって自分は偽りの妃であり、それ以上でもそれ以下でもない。
そんな存在に、いちいち報告する義理などない、というのが普通だろう。
「ラルフは…何と言っていましたか?」
恐る恐る聞いてみると…