偽りの結婚




「君は僕にとって大切な人だからだ」


ラルフは、尚も真剣な表情で話す。

大切な人なんかじゃない。

貴方は私を偽りの妃にしたことに後ろめたさを感じているだけ。



「やめて……やめてよ…」


もう、偽りなんていらない…

私は知っているんだから。

目の奥がカッと熱くなり、耐えていた涙がまた瞳を濡らし始めた。




「だって、貴方は…」


言いかけた言葉をグッと抑え、途中で止めた。

自分から言ってしまうと、ラルフを責めているように聞こえる。

それは、あの条件を守っているラルフからしてみれば謂れのない言いがかりでしかない。



「貴方こそ…私に言うべき事があるんじゃないの?」


先程の激情に任せて吐いた言葉に反して、いたく冷静に吐かれる言葉。



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