偽りの結婚
「君は僕が守る」
溢れ出る涙を指ですくいながら、ラルフは言う。
「っ……!」
刹那―――
私は目の前の胸に飛び込んでいた。
寝ぼけているわけでもなく、ましてや、雷が鳴っているわけでもない。
私の意思でラルフの胸の中に飛び込んだのだ。
「ごめんなさい……」
震える声で呟く謝罪は一体何に対してのものなのか。
泣いていた理由を言えなかったことに対してか。
話も聞かずに立ち去ろうとしたことに対してか。