偽りの結婚




「先程君の妹と話をしていてね。今日は一旦帰ることになった」


遠慮なくとは言ったものの、まだやんわりとした表現で言葉を選ぶ。




「シェイリーンを諦めてくれるのですか?」


挑発するようなベルナルドの言葉に、僅かに顔をしかめる。

しかしすぐに笑顔を張り付け、答える。




「まさか。必ず取り戻してみせる」


この言葉にベルナルドの表情が豹変する。




「シェイリーンは貴方の気まぐれな玩具じゃない。一時の感情で彼女を振り回すのは止めていただきたい」


怒りを押し殺したような声で、静かに話すベルナルド。




本性を隠しているのはどっちだ。

ベルナルドの言葉の裏にある感情は知っている。

シェイリーンを想っているからこそお互いの存在に嫉妬し、羨望するのだ。



「僕はシェイリーンの事をそんな風に思ったことはない。一時的な感情でもないし、ましてや玩具だとも思っていない」


今までの所業ゆえに信じてもらう方が難しかったが、今はこう言う他なかった。



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