偽りの結婚
「ならば、なぜあんなにもシェイリーンを悲しませるのです。ここに来たばかりの時は見ているこちらが切なくなるほどに泣いていました」
静かな怒りを込めたベルナルドの声が自分を責める。
これには流石に押し黙った。
シェイリーンの涙にはめっぽう弱く、ましてや、それが自分のせいで流している涙だと余計に辛い。
「貴方がこのまま帰ると言うなら、もうこの気持ちを抑えはしません。」
何か覚悟を決めたような真剣な琥珀色の瞳がこちらを見据える。
何か嫌な予感がした。
「何を…するつもりだ?」
ベルナルドの熱い瞳とは相反して、冷ややかな深いブルーの瞳をスッと細めて見据える。
その声は唸るように低く、聞く者を凍りつかせるほどに冷たかった。
しかし、ベルナルドはそれに臆することもなく口角を上げながら笑った。
「さぁ…どうしましょうか?無理やりにでも奪ってみましょうか?」
静かな怒りを知ってか知らずか、口元に笑みを浮かべながら、更に煽るような言葉を差し出すベルナルド。