偽りの結婚
ダンッ――――
「っ…ふざけるな!そんなことをやってみろ、ただでは済ませない」
感情がこみ上げるままにベルナルドの胸ぐらをつかみ、壁に押し付けた。
母譲りの紺碧の瞳も今はこみ上げる熱情で赤く染まっているのではないかというほど。
「ッ……そんな顔も出来るんじゃないですか」
壁に抑えつけられた背中の痛みに、眉を寄せつつフッと笑うベルナルド。
自分でもこんなにも感情的になったことに驚いている。
普段紳士的な笑みを浮かべ、感情でものをいうことも行動をすることもなかった。
しかし、シェイリーンのことに関しては自分をコントロールできない。
「手を離してください。無理やり奪うなどしませんよ。貴方を試したんです」
降参のポーズをとるベルナルドだったが、それを信じていいやら。
無理やりというのは信じてやってもいいが、目が本気だった。
隙あらばシェイリーンを奪いたいと思っているのが見え見えだ。
「人を試すのが好きな兄弟だな。だが、試す必要すらない。シェイリーンを愛する気持ちは真実だ」
まだ少し睨みながら、ベルナルドを抑えていた手を放し、アリアに伝えた気持ちをベルナルドにも示す。