偽りの結婚
「その顔は知らなかったって顔だな」
困った笑顔を浮かべるベルナルド。
「あっ…えっと……はい」
傷ついた様子のベルナルドに一瞬否定しようとしたが、嘘はつけなかった。
だってそんな素振り一回もなかったんだもの…
ベルナルドさんと会う時はいつもアリアがいて、二人きりになる時なんてなかったし。
私に優しいのは妹として見てくれていたからかと思っていたから。
「参ったな。全く気付かれていなかったとは…」
顔に手をあて悲しそうな表情を作るベルナルド。
「ごめんなさい、私…」
ベッドから恐る恐る立ち上がり、俯くベルナルドの顔を覗く。
後に続く言葉が浮かばないでいると…
「謝らないでくれ。謝られると、余計辛いから」
一層辛そうな声で、瞳を逸らされる。
月の光に照らされたベルナルドは本当に消えてしまいそうで。
応える事が出来ない自分にもどかしさを感じた。