偽りの結婚
「シェイリーン」
ベルナルドが切ない声で私の名を呼び…
フワッ―――
次の瞬間にはベルナルドの腕に抱きしめられていた。
「僕じゃダメなのか?僕じゃ君の一番にはなれないのか?」
優しく包み込むように抱きしめ、耳元で呟くベルナルド。
「必ず、君を幸せにするから…」
そう言って、ゆっくりとベルナルドの顔が近付く。
ベルナルドと結婚すれば、幸せになれるだろう。
優しくて、紳士的で、結婚すれば間違いなく大切にしてくれる。
私だけを見ていてくれて、私だけを愛してくれる。
けれど……
「やっ……」
近づいてくるベルナルドの体を押した。
力を込めて抱きしめられていなかったからか、スルリと腕の中から逃れられた。
自分を抱きしめる腕の強さが違う。
抱きしめられる胸の広さが違う。
包まれた時にふわりと香る匂いが違う。
……囁く声が違う。
身体が心が、ラルフ以外の存在をこんなにも拒絶する。