偽りの結婚



「君こそ、何故舞踏会を抜け出してこんな場所にいるんだ?」

「なぜって…」


突然自分の事を聞かれ、言葉に詰まる。

まさか爵位を持った家の令嬢が家の家事とダンスレッスンの疲労から抜け出してきたことを言えるはずがなかった。




「人が多く集まる場所は苦手で。外の空気を吸いに来ようと思ったんです」



結局、理由の部分は省いたけど、これもあながち嘘じゃないし…

私の答えに男は意表を突かれてたように目を丸くするが、まだ納得していないようで問いかけが続く。




「じゃぁ、寝ていたのは?」

「それは…疲れていたから…」


恥ずかしくて、下を向きながら小さな声で答える。

すると、横から深い溜め息。

令嬢がベンチで寝るなんて、呆れられたんだわ。

そう思って落ち込んでいると…


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