偽りの結婚
あれほど諦めると自分に言い聞かせたのに。
ソフィア様という真の妃に相応しい人がいるのに。
離れる程に強く想うこの気持ち。
離れれば、自然と忘れられると思っていた。
けれど、まだ胸の奥底で甘く疼くこの気持ちを諦める事が出来ない。
「ごめん…なさい……」
震える口から零れた言葉は、ベルナルドが言わないで欲しいと言っていたもの。
けれど、私がベルナルドさんに応えられるのはこれしかなかった。
「やっぱりラルフ王子の事が好きになっていたんだね?」
私を責めるでもなく、優しく促すようなベルナルドの声が問う。
そんなベルナルドに申し訳なく、目も合わせられずにただ弱々しくコクリと頷く。
「そうか。良かったよ、止めてもらって」
落とされた言葉は私が予想していたものとは違った。
突き放されるような冷たい声ではなく、ほっとしたような声。
反射的に顔を上げると、ベルナルドは微笑んでいた。