偽りの結婚




けれど、いざラルフを目の前にすると、この場から逃げたい気持ちにもなる。

見つかって、自分から離婚を申し出たのに、なぜこのような場に来たのかと言われるのが怖い。

そして何より、ラルフと他の女性が親しくしているのを見るのが辛い。


今は王族として挨拶をしているようだが、それが終われば白いドレスを着た女性に取り囲まれるだろう・・・

自分から離婚を申し出ておいて、こんな気持ちになるのはおかしいが、どうしても気分が下降する。



シェイリーンは伏し目がちに俯いていると・・・


「覚悟を、決めたんでしょう?」

アリアの優しい声で、現実に引き戻される。

琥珀色の瞳にじっと見つめられ、弱気になった心を叱咤する。



「・・・えぇ。」

シェイリーンは、ある覚悟を秘めて、この場にいる。


覚悟・・・それは、無謀な挑戦と言ってもいいほどのものだけれど・・・



「応援してるわ、シェイリーン。」

アリアはそう言って、人の波の中へ入って行った。

応援してくれるアリアやベルナルドさんに応えるためにも、この場から逃げ出すわけにはいかない。




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