偽りの結婚
優雅な音楽が流れる中、ダンスを踊る者、談笑する者、各自様々に楽しんでいた。
シェイリーンはと言うと、アリアと離れて一人ホールの端に佇んでいる。
やっぱり・・・近づけないわ・・・
視線の先には、白いドレスを身につけた女性に囲まれたラルフ。
案の定、ラルフにアプローチをかける女性は後を絶えなかった。
「あの・・・、踊っていただけますか?」
ぼーっとしていると、横から声を掛けられる。
「えっ・・・?私・・・ですか?」
周りを見渡してみるが、ホールの端に居たからか、自分一人しかいない。
「もちろんです。綺麗な女性が壁の花を決め込むなんて、もったいないですよ。」
そう言う青年は、爽やかな笑顔をシェイリーンに向けて、手を差し出す。
「でっでも・・・私・・・。」
差し出された手にオロオロとして、なかなか取ろうとしないシェイリーン。
男の人と話してはならない、相手をしてはいけない、というラルフとの約束が体に染みついていたためか、いざ、男の人を目の前にすると焦ってしまう。
シェイリーンがオロオロとしていると、その男はハッと目を見開き、口を開く。
「もしかして、お相手がいらっしゃるんですか?」
申し訳なさそうに尋ねる男。