偽りの結婚



「そう言うと思いました。」

そう言って、男はシェイリーンの手を引いて、ホールの中心へ向かう。


それを見つめる視線があるとも知らず・・・





「そんなに目立っていましたか?」

ホールの中央で踊りながら、男に聞く。



「えぇ、すごく。仮面を付けて、白いドレスを着てているのに、壁に張り付いていたのだから。」

驚いている男は、本当に気付かなかったのか、という表情だ。

その言葉に、がっくりと肩を落とすシェイリーン。



目立ちたくなくて壁の方にいたのに、それが逆に目立っていたなんて・・・


ちらりと、ラルフの方へ視線を向けると、白いドレスを着た令嬢と踊っている。


大丈夫、気付かれてはいないわ・・・

仮面を付けているんですもの・・・

私だとは思わないはず・・・



「ラルフ王子が気になるかい?」

不意に、男がそう聞く。


「えっ?・・・なぜですか?」

ラルフの名があがって驚くシェイリーン。





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