偽りの結婚
「・・・っと、噂をしていれば、本人のご登場じゃないか。」
男は楽しそうな表情を浮かべ、シェイリーンの背後に視線を向ける。
「っ・・・!」
踊っていることも忘れ、バッと後ろを振り向くシェイリーン。
見ると、鮮やかなブルーのドレスを着たソフィアが、令嬢たちに囲まれたラルフの元へ近付いている。
その顔には、仮面が付けられていない・・・
仮面を付けていない者は、既婚者かもしくは・・・恋人がいる者。
それが示すことは一つしかなく・・・
ラルフの周りの白いドレスを来た令嬢たちも道を空ける程で。
「やっぱりラルフ王子は彼女と結婚するのかな。」
男もその様子を見て、真実が分かったようだ。
「私・・・ちょっと、失礼します。」
小さく呟いて、手を放す。
「ん?あぁ、分かった。付き合ってくれてどうもありがとう。」
男は最後まで紳士的だった。
「こちらこそ、ありがとうございました。」
シェイリーンは感謝を述べ、その場を去った。