偽りの結婚




「・・・っと、噂をしていれば、本人のご登場じゃないか。」

男は楽しそうな表情を浮かべ、シェイリーンの背後に視線を向ける。



「っ・・・!」

踊っていることも忘れ、バッと後ろを振り向くシェイリーン。

見ると、鮮やかなブルーのドレスを着たソフィアが、令嬢たちに囲まれたラルフの元へ近付いている。


その顔には、仮面が付けられていない・・・


仮面を付けていない者は、既婚者かもしくは・・・恋人がいる者。




それが示すことは一つしかなく・・・

ラルフの周りの白いドレスを来た令嬢たちも道を空ける程で。



「やっぱりラルフ王子は彼女と結婚するのかな。」

男もその様子を見て、真実が分かったようだ。



「私・・・ちょっと、失礼します。」

小さく呟いて、手を放す。


「ん?あぁ、分かった。付き合ってくれてどうもありがとう。」

男は最後まで紳士的だった。



「こちらこそ、ありがとうございました。」

シェイリーンは感謝を述べ、その場を去った。




< 524 / 561 >

この作品をシェア

pagetop