偽りの結婚




くそっ・・・うっとおしい・・・


心の中で、苛立たしげに悪態をつくのは、この国の王子。

表面ではニコニコと人当たりの良い笑顔を見せているくせに、心の中は真黒だ。



挨拶を済ませて、ホールに出てみれば、真っ先に令嬢たちに囲まれた。

指定された白いドレスを着て、仮面を付ける令嬢たちは、胸元が開いているドレスや宝石、香水を付けていなだけいつもよりましだったが・・・



これでは、シェイリーンを探そうにも探せないではないか。



「ラルフ様、私と踊って下さい。」

「私の方が先でしたわ!」

早くも始まった令嬢たちの口論に、うんざりするラルフ。


放っておいたら、揉め事に発展しそうだ・・・・

仕方ない、とりあえず一人選んで踊ろう。

そうすれば、この人だかりも散らばるだろう。



「では、そちらのブラウンの綺麗な髪のお嬢さん、私と踊っていただけますか?」

心にもないことを言いながら、ラルフは手を差し出す。



「もちろんですわ!」

ラルフに声を掛けられた令嬢は、他の令嬢たちに勝ち誇った笑みを見せ、ラルフの手を取る。






< 525 / 561 >

この作品をシェア

pagetop