偽りの結婚
くそっ・・・うっとおしい・・・
心の中で、苛立たしげに悪態をつくのは、この国の王子。
表面ではニコニコと人当たりの良い笑顔を見せているくせに、心の中は真黒だ。
挨拶を済ませて、ホールに出てみれば、真っ先に令嬢たちに囲まれた。
指定された白いドレスを着て、仮面を付ける令嬢たちは、胸元が開いているドレスや宝石、香水を付けていなだけいつもよりましだったが・・・
これでは、シェイリーンを探そうにも探せないではないか。
「ラルフ様、私と踊って下さい。」
「私の方が先でしたわ!」
早くも始まった令嬢たちの口論に、うんざりするラルフ。
放っておいたら、揉め事に発展しそうだ・・・・
仕方ない、とりあえず一人選んで踊ろう。
そうすれば、この人だかりも散らばるだろう。
「では、そちらのブラウンの綺麗な髪のお嬢さん、私と踊っていただけますか?」
心にもないことを言いながら、ラルフは手を差し出す。
「もちろんですわ!」
ラルフに声を掛けられた令嬢は、他の令嬢たちに勝ち誇った笑みを見せ、ラルフの手を取る。