偽りの結婚
はぁ・・・心にもないことを言うのは疲れるものだ。
前はポンポンと出てきていたのにな・・・
ラルフは、どこの家の者とも知れない令嬢と踊る。
今回のこの仮面舞踏会では、指定のドレス、身分と名前を隠すことを条件としていたため、令嬢たちは必死に話をしようとしている。
今現在も、女は嬉しそうに自分の趣味やらサロンでの事を話しているが、つまらない事この上ない。
所詮、自分に近づいてくる令嬢は、自身の家柄や容姿を武器に近づいてくる者しかいないのだ。
早く曲が終わってくれ・・・と願いながら、ラルフは踊る。
しかし、次の瞬間―――
女の自慢話に適当に相槌を打ちながらターンをした時、嫌なものを見た。
ホールの壁、人だかりから距離を置くような場所で、男女が話をしている光景。
男は確かウォール侯爵家の子息。
そして、女の方は見間違えるはずもない。
自分が欲してやまない唯一の人・・・シェイリーンだった。