偽りの結婚
「やっぱり、君だったか」
仮面の下の素顔を見てラルフは愛おしげな笑顔を向ける。
その蕩けるような笑みは仮面なしでは眩しすぎるくらいだった。
「シェイリーン…会いたかった」
そう言って私の体を抱きしめる腕を強める。
「ラル…フ……」
名前を呼ぶ声が掠れる。
抵抗しなければいけないのに。
仮面がなくなった今自分を覆い隠してくれるものは何もない。
けれど抱きしめられる力が強くなるほどに、体から力が抜けていく。
「さっき言ったことは本当?」
耳元で囁かれる声にビクッと体が震える。
嘘なんてつくはずない…
“好き”という気持ちがあんなにも溢れ、無意識に言葉にしたのだから。