偽りの結婚



――――――――え?




「今、なんておっしゃいました?」


何かの聞き間違いかと思い、もう一度聞いてみる。





「だから、我がランカスター王家の書庫が一番だと言っている」

「…ッ!うそ…でしょう?」


ベンチからふらふらと立ちあがり、座っている男を見ながらやっとのことで声を絞り出す。




「いいや、嘘じゃない」


男の言うことが嘘じゃないとすると、この人は王家の人間で…

今のランカスター王家には国王と王妃、そして一人息子だけ。

目の前の男はどう見ても国王というには若々しくて…




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