新アニオタ王子


「友達が側にいる時に限ってなんだよ。

例えば目が合ったり…」

あたしのぼやいた言葉に驚きながら香月さんが「友達って…男?だよな?」と聞いた。

「そうだけど…?」

すると香月さんは岡本と同じ様に

「それって…」と、苦笑いをしたきり、次の言葉を言わない。


だからなんで、そこでやめるかな?

「それって…何ですか?」

「えっ?」

あたしが知りたいのはその続きの言葉。


「だから…つまりそれは、惚れてるってことだろ?」



惚れてる?



あたしが岡本に?


真剣な眼差しの香月さんを思わず笑い飛ばしてしまった。


「それは天と地がひっくり返ってもありえない」

「どうだか?」

口の方端をあげて、試すような笑顔を作る香月さん。

そんな風に見られてもあんなオタクを好きになる確率なんてあたしの中で0%

「そりゃあ、最近俺を誘ってくれないわけだ?」


「それとこれは別っ‼」

「マユはまだ幼いところがあるからな。」

そうやって、すぐにあたしを子供扱いしようとするから

だから、あたしは香月さんと体を重ねても心の距離を感じてしまうのかもしれない。



でも、もし…

香月さんの言うように…

あの高鳴りイコール恋愛感情だったとしたら?







馬鹿馬鹿しい。


ありえないよ。




「それより香月さんは本気で誰かを好きになったことある?」

「そりゃあ…あるだろ。」

「そう?そうなんだ?」

あるだろうと分かっていたけれどつまらない。

「その相手に感じたような気持ちをあたしにも感じたことある?」

「ベッドの中のマユはいつも俺をドキドキさせてくれるけど?」

からかうように笑う。

クールな香月さんからドキドキなんて言葉…。

そのドキドキは…

昨日、あたしが感したものと同じなんだろうか…?



まさか…

だよね。




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