アクアマリンの秘密
【桃依side】


ここは一体どこなんだろう…?
とりあえず、『雫の間』ではないことだけは確かみたい。
造りはとても似ているけど、どこか違う。
ここは…何か特別で、そして全てから切り離されてしまった空間…。
そんな気さえしてくる。



他のみんなは別のところに飛ばされてしまったみたいで、ボクの周りには誰もいない。
目の前の…男の子を除いては。



「お兄…ちゃん」



初めて見た時からボクのことを「お兄ちゃん」と呼ぶ男の子。
だけどボクには弟なんていない。
ボクには兄弟がいなかったから…。



「君は…誰?」

「ぼく…ぼくのこと…知らないの…?」

「え?」

「ぼくは…お兄ちゃんのことを知ってるのに…お兄ちゃんは…ぼくのことを知らないの…?」




とても哀しそうにそう言う男の子。
今にも泣き出しそう。



「君は…。」


そこまで言いかけたところで、いきなり男の子の纏う気配が変わる。



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