揺らぐ幻影
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下手にアクションを起こして嫌われないよう大人しく過ごした水曜日、


本日の結衣は、現役女子高生らしく放課後を自己啓発に費やしており、

自宅で髪の毛をあれこれいじり鏡の中の自分と奮闘中だ。


見た目以上に巻き髪は奥が深い。

単純にコテで巻く・カーラーで巻くと済まされがちだけれど、

実際は一行で語れない。


トップは何もせず根本がぺしゃんこなのに、毛先だけグルングルン巻くスタイルは、

女子界では非常にダサいとされている。

なんでもオシャレガールか見極めるには、てっぺんから毛先までのバランスを見れば一発だとされているのだそう。

巻き巻きした動きの分かる毛先より、トップがキーとなるようだ。


逆毛を立ててガチガチに盛るか、ホットカーラーでふんわりとボリュームを出すかで、

似合う服装が変わるし、顔付きや雰囲気もガラリと変わる。

そこをコーディネートに合わせてアレンジするのが、新のオシャレガールだそうで。


よく友人らが、『カーラーなら巻いてる内にメイクが出来るから楽だ』と決まって口にする。

確かに両手が塞がるコテに比べて、ホットカーラーは巻いた後は自由になるため、

お化粧をしたり着替えたりと、非常に効率的と評価されるのが妥当だ。


しかし、側面がデコボコしている円柱のソレは手慣れた人向きだと、

結衣は自分にため息をついた。


  ……悲惨

そう、ホットカーラーは外すまで、どのように癖付くか分からない。

なので彼女の髪の毛はなんとも言えない方向へ膨らんでおり、

揚句、止めていたクリップの型がくっきりと残ってしまっていた。

不器用な人には向いていないのかもしれない。


巻き方が肝、そんな訳でホットカーラーは上級者向けだと結論付け、

少女がため息をついた次第である。


中学生の時は縮毛矯正をあてることがちょっとしたステータスだった。

巻き髪に憧れるも、似合わないとブーイングが起こる故、

なんだかんだサラサラヘアがあの頃は主流だったと懐かしく思う。

女の子はオシャレが好き。
恋をしたら、もっとオシャレが好きになるおめでたさなら負けない。

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