揺らぐ幻影
諸々をまとめ、昨日の会議で発案されたことがこれだ。
まず、近藤の目にさり気なく結衣の姿をとらえてもらうこと。
コンビニのアルバイトで常連客をなんとなく覚えたり、
通学バスで乗り合わせる人をなんとなく認識する感じで
『あの子かー』と、ぼんやりでも風景から人物として認知してもらうことが目標だ。
次に、積極的に話しかけ、挨拶を交わすような仲に進展させること。
つまり友人と呼ぶには値しなくとも、
宿題見せてとかノート貸してとか、何気ない社交辞令をスムーズに行えるレベルになる感じの顔見知りになるステップアップが目標だ。
第三に、携帯電話のアドレスを教えてもらい、メールを重ねること。違和感なく立ち話ができれば尚良い。
つまり、話しかけよう、挨拶しようと意気込まなくても良い感じの友達になることを目指す訳だ。
第四に、告白する。
あくまで第四は仮で、仲良くなる度合いで二人の指示に合わせ行動を変えるつもりだ。
このように段階を踏んで徐々に距離を縮めていく計画は愛美と里緒菜が指揮をとりあみだしてくれた――名付けて“偶然奇遇作戦”――
ひどく安易なダサいプロジェクトがスポンサーもないけれど、確かに発動した。
結衣たちのように女子高生はよくプロジェクトを立てるが、たいてい自然に事業は解体され衰退していく。
ダイエット連盟だとか、節約同盟だとか……意気込みがあったもののなぜか忘れ去られている。
ぜひ恋を成功させて功労者番組に取材されるような人にならなければと思うし、
ミッションを無事達成できたら良いのだけれど、
『頑張る』、今結衣が持っている力はそれだけだった。
彼女が物語の筆をとるなら、甘いハプニングや甘い展開、甘い設定を加筆加筆誇張気味で加筆加筆。
しかしこれは教室に転がるショボイ恋愛事情のため、
書き手が頑張らない限り、神様は甘いページを与えてはくれない。
そう、尽力しなければ、ただひたすらに何もない退屈な日々で、
カロリー、アルコール、なんでもゼロが主流の昨今、人生も当然シュガーレスなのである。