揺らぐ幻影
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すっかり明日になっているカーテンの向こうには、童話もびっくりなお星様たちが踊ってことだろう。
ポジティブになれば世界は変わるのだから、ここが現実だとしても気持ちの問題で簡単に魔法は使えるはずだ。
女子大生にとあるおまじないを教えてもらった。
スイートなステッキは泡立て器という代理でなんとかなるだろう。
んー……
ダイニングテーブルには母親の意向か、相変わらず林檎ちゃんが謎の布をかけられ眠っている。
ブームに遅れて父親が毎朝食べるバナナが数本、お肌に良いとかで姉が好む豆乳も残り僅か。
誰かのノートをコピーした紙には、しっかり授業を聞いていた証拠に、
板書以外にも口頭で告げた要点が美しく簡潔にまとめられていた。
要領が良い結衣は一生懸命眺めて暗記しようとしている最中だ。
数時間後に学年末テストが始まるため、本来なら昨日はアルバイトをするべきではなかった。
こんな風に夜更かしをして近藤は勉強を頑張っていたらしい。
一夜漬けタイプの結衣にはやっぱり共感できないなと思う。
男子もお料理好きが増えているらしいけれど、甘い香りが漂うキッチンには女子が立っていたい。
近藤におかえりなさいを言いたい。
よく、君も同じ月を〜というお決まりフレーズを聞くが、ロマンチストではない彼女は、
深夜番組が終わり、通販や単調な天気予報が続いた後の放送停止画面をあの人も眺めているのかな〜といった具合に想いを馳せたい。
そう、乙女チックに悲観してメソメソするのはらしくない。
結衣は結衣なのだから、へらへら笑って彼の横を陣取りたい。
やっぱり頑張りたくて――諦められなくて――だから田上結衣、
テスト勉強なんぞより、片思いマスターになるべく違う作業にととりかからなければならない。
エプロンが似合うお姫様になれたら完璧だ。
愛美と里緒菜、アルバイト先のお姉様、支えてくれる人に甘える自分は色んな意味で立派ではないか。
努力をしよう。振られるまでは好きになってもらうよう働きかけよう。
目を開けていても大好きなあの人の輝く笑顔がここに見えたなら、メルヘンの達人だ。
睡眠時間よりも恋、決意をすればもうすぐ暁の空。
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