揺らぐ幻影
―――――――
――――

ホワイトデーは土曜日、ついに一週間きってしまった今日は三月九日の月曜日だ。

時間に焦るせいか、自分が嫌いで静香が嫌いで、結衣はどうしたら良いのか正解が出せなかった。

なんでヤキモチを妬いてしまうのだろうか。


正直に言うなら、今まで彼女は嫉妬をしないタイプなのだと思っていた。

というのも、クラスメートの恋愛話やアルバイト先の女子大生の悩み相談は、

彼氏が部活のマネージャーや同級生と居るだけで、かんしゃくを起こしたり、

彼氏が女友達とメールをしているだけで怒ったり、グループで遊んでいるのに浮気だと騒いだり、

彼氏が自分との約束より友人やプライベートを優先することに不満を持ったり、ヤキモチをやいたり、

馬鹿じゃないのと呆れていた。

なんて重たい女なのだと引いていた。


そんな風に束縛したり詮索したり、自由を奪ったり依存したり、

なんて世界が狭い女なのかと嫌悪してきた。


なので、友人とは言え、実のところ彼女たちの恋愛面には感情移入なんてさらさら出来なかった。

そういった感性からか、恐らく結衣はバラエティー番組を見てきたし、少女漫画ではなく四コマギャグ漫画を選んできたのかもしれない。


本当に些細なことにいちいち嫉妬する女子をありえないと、彼氏が気の毒だと、

嫉妬、

結衣自身は、そういうタイプではないと生きてきた。


切ない・信じる・一生などの単語に共感できない心の持ち主だと自覚していた。

従って、ジェラシーなんていちいち大袈裟だと非難していたけれど、

どうやら恋を知った結衣は、不本意だがヤキモチガールに当て嵌まるらしい。

それも普通に。

第三者が見れば、しょうもないと呆れるレベルの嫉妬の最中だ。


なぜなら、冷静に、客観的に、状況を判断すれば、近藤と静香はクラスメートなだけなのだ。

結衣が大塚と話すようなものなのだから、結衣はとっても妄想癖だ。

自分だってクラスメートの男子と遊んだりメールをしたりする癖に、

彼たけはなぜか絶対に駄目、独占したくて堪らない。


おかしな話だと思う。
近藤洋平は近藤洋平、彼を支配下に置きたいなんて間違っている。

嫉妬は苦手なのにおかしな現象だ。

< 521 / 611 >

この作品をシェア

pagetop