千夜を越えて
方向転換をし、近藤の部屋の前に来る。
中から、土方の声が聞こえる。
「…枡屋を捕縛し、拷問したところ、とんでもねぇ計画をしてやがった。」
-烈風の日に乗じ、御所の風上に火を放つ
「おいおい…洒落になんねぇよ。」
永倉が呟く。
「あはは。面白いこと考えますね。」
沖田は、場違いな声で笑う。
しかし、目は笑っていない。
「今晩、首謀者探索のため出動する。」
「はい。」
沖田が挙手をする。
「なんだ、総司。」
「人数少ない中、隊わけが困難になりますが、どうするんですか?」
「今から説明する。」
「それと…」
沖田は付け加えにこう言った。
「廊下にいる彼女、良いんですか?」
チラッと襖の方を見る。
障子に、月光で影ができていた。
ばれたっ!
みんな気付いていたが、敢えて触れなかったようだ。
「こそこそしてっとぶった斬るぜ、咲夜。」
スッと襖を開ける。