∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜
公園に戻った僕は、もう一度桜の木の下に座った。
見上げると、桜の花はさっきよりもさらに咲いたような気がする。
桜の木と向かい合って座り、じっと見つめているうちに、僕はこの桜の木と一体になっていくような――そんな不思議な気持ちになった。
いつの間にか、僕はこの桜の木に、大きな安心感を抱いていたのだった。
ご主人の家では結局見られなかった桜の花も、ここで見る事ができた。
父さんも昔、ここに来た事があるのかもしれないって聞けた。
今、僕は、何だかみんながひとつに繋がっている気がしていた。
「僕がここでひとで生きていられるのは、ひとりじゃないからなのかもしれないね」
僕は桜の木に向かい、そっとつぶやいた。