私こそ光る☆君~グランプリ編~
カッ、カッ、カッ……。
自分の足音が妙に大きく感じられる。
「そして、最後の候補者は……」
名前を呼ばれる直前、一度だけ後ろを振り返った。
『これからも、こうやって背中を押してくれますか?』
その問いに、志乃さんはただ首を振ることで答えてくれた。
どんな言葉をもらうより、今こうして自分に向けられている晴れやかな笑顔が嬉しい。
そっと微笑んで、前に向き直る。
“行ってきます”と心の中でつぶやいて……。
――笑顔は与えられ、与えるものだから……。
「“今夜は会場を僕色に光らせます!!”
【Rainbow Garden】、紅月光!!」
ステージへと一歩踏み出すと、スポットライトのまぶしい光と大地を揺るがすような歓声に出迎えられた。
そう、私は紅月光。
――私こそ、光る君。