ハルジオン。
「ちょっとたっちゃん!」

突然靖之に名前を呼ばれた。その楽しそうな声が余計に苛立たしい。

「なんだ?」

「見てないで手伝ってよ!」

「ああ、悪りぃ」

達也は居座っている岩に手を掛けて、敢えて倉庫に背を向けた。そうでもしないと、壁をぶち壊してしまいたい衝動を抑えられそうになかった。

「意外とでかいな」

「でしょ?」

一人じゃ無理だよ、と靖之が額の汗をぬぐい取る。

そう言えば、埋めた時は百合子の親父さんが一緒だった。

ふとそんなことを思い出す。

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