貴公子と偽りの恋
二人分のお弁当を持って裏庭へ行ったけど、香山君はまだ来てなかった。

私は直射日光を避け、校舎を背にして立っていた。

少しすると、校舎の角から人が地面を歩く音がし、真っ白なワイシャツを着た背の高い男子が現れた。

私はとっさに告白した日の、よく似た光景を思い浮かべた。

デジャヴュ?

「待たせちゃった?」

と言ってニコッと微笑んだ香山君の白い歯が、夏の強い陽射しを反射して眩しい。

「ううん、大丈夫だよ」

「飲み物を買ってたから」

「あ。私、また忘れちゃった!」

「そうだろうと思って、今日は2本買って来たよ」

そう言って香山君は、種類の違う2本のお茶のペットボトルを掲げて見せた。
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