亡國の孤城Ⅲ ~バリアン・紲の戦~

「三槍の処理、とは…」

…と、疑問げにウルガは声を漏らした。

バリアン国家に反旗を翻す、反国家思想を抱く者達の勢力…通称“三槍”の討伐は、何も今に始まったことではない。勢力を伸ばしてきた三槍との攻防は、ウルガが生まれる前から続いていることで、そして未だに決着がついていないのが現状だ。

ここ近年でも、三槍に関する事は側近のケインツェルにほとんど一任されていた。三年前、三槍の内の一つである“赤槍”を討伐したことでも実績を築いている。
以前から行っていた仕事を、今更何故隠れてこそこそとする必要があるのだろうか。

「いえねぇ………なかなか楽しませてくれる愉快な三槍の皆さんなんですが………陛下の意向もありまして……………そろそろ……彼等には舞台から降りていただこうかなぁ…と。…フフフフ!」

この男の頭にも、僅かながら自重するという意識はあるらしい。一度開けば笑いが止まらない口を、ケインツェル自身の左手が素早く塞いだ。
…退場、という事はつまり。

(………根絶やし、ということか)

いよいよ本格的に、この国は厄介者の排除に力を注ぐらしい。
…と言っても、別に今まで奴らに好き放題をさせていたわけではない。長年の攻防戦では互いに本気だった。
ケインツェルに関しては、何だか遊戯の様に賊討伐を請け負っていた節が見られたが……その陰険眼鏡が、遊びは無しと断言しているのだ。


ケインツェルが本気を出せば…もしかしなくとも三槍の根絶やしは遠い未来の話ではなくなるやもしれない。
加えて今のバリアン王はリイザだ。…何を考えているのか分からない、味方にさえ腹の内を読ませないこの青年は……恐らく、大きな何かをなす力を秘めている。
ウルガには、そう思えてならないのだ。

「極秘…と申しますと、陛下………それはこの先も、軍部には一切伝えられぬものに御座いますか…」

笑いを堪えて肩を震わせるケインツェルを忌々しそうに一瞥し、ウルガは再度リイザに視線を戻した。

「………そういうわけじゃない。…ただ、内容が内容なだけに…これは時期を見ていかなければならないからな。…頃合いを見て、話してやるさ…」
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