亡國の孤城Ⅲ ~バリアン・紲の戦~

赤い砂漠の国に関しては最早溜め息まで出てしまう程まいっているが、隣国は隣国でも親交の深い青の雪国の事をローアンは思い出した。

あの国もつい三年前まで永遠の冬季に見舞われていたが、もうすぐ雪解けの春になる頃だろう。


「ああ、あっちね。あっちの件なら………実はまだ報告の一つも来ていないんだけど……問題はまず無いと思います。…なにせ書状のお使いをさせているのがあのイブだからね……寄り道しなきゃいいですけど」

「そうか…デイファレトへの使いはイブか」

それなら安心だ、とローアンは背もたれにゆっくりと身体を預け、ステンドグラスを通した温かい陽光にそっと目を瞑った。


あの雪国の春も、このくらい暖かな太陽が照らしているのだろうか。

そう言えば、久しく彼とは会っていない。
あの、いつも眠そうな目の彼に。

「………息災であれば、それで良いがな」


























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