亡國の孤城Ⅲ ~バリアン・紲の戦~
「開かないなー、開かないなー、開っかないなー…っと。…………………登っちゃえばいいよね。登っちゃっても別にいいよねー。………だよね!ありがとう!」
…と、一人芝居を済ませたかと思うと、イブは何食わぬ顔で門を両手で掴んだ。国の使いである者が不法侵入など、まず常識的に考えなくとも不味い。
外野から見れば、冗談だろと言いたい行為だが。
とても残念なことに、彼女の目は、マジだ。
格子状の部分に片足を引っ掛け、さあ登るぞとイブは勢いを付けるべく身構えた。
「だいたいこんなに可愛いイブちゃんが来たってのに、迎えの一つも無けりゃ門も開いてないとか、こっちが悪いんだもん。仕方ないよねー」
「だったら便りの一つくらい寄越しなさいよ、この非常識人」
弾みをつけて半分浮き上がっていたイブの身体は、何処からともなく飛んできた鋭い一喝で途端に元の位置に戻った。
細かい格子の隙間から中を覗いてみると、いつの間にかそれまで無人だった中庭の奥から、細い人影が一つこちらに歩み寄って来ているのが目に飛び込んできた。
遠くともその姿をすぐに認識したイブは、門にかけた片足を下ろして子供の様に飛び跳ねる。
ガシャガシャと門をうるさく揺らすイブを眺める人影が、顔をしかめるのも気にしない。
「入れて入れて―。イブちゃんの御来訪だよーん!」
「うるさい!」
くわっ!と恐い顔で怒声を放つその人が門に近付けば……今まで沈黙を貫いていた門が独りでに口を開き始めた。
よく見れば分かる事だが、門の何処にも鍵らしきものは最初から付いていない。おいでませと言わんばかりに開ききった門をイブは悠々と抜けると、腕を組んだ仁王立ちで待ち構えていたお迎えの人…その少女に、人懐っこいにっこりとした笑顔を向けた。
「いやっほーいドール。元気ー?あたしは元気だよー」
久しぶりの会合…にも関わらず、せっかくの可愛らしい顔だというのに眉間にしわを寄せた目の前の少女は、イブの太陽の如き陽気に呆れながらも苦笑を浮かべた。
「…あんたは見りゃ分かるわよ………ええ、それなりに元気よ」
…と、一人芝居を済ませたかと思うと、イブは何食わぬ顔で門を両手で掴んだ。国の使いである者が不法侵入など、まず常識的に考えなくとも不味い。
外野から見れば、冗談だろと言いたい行為だが。
とても残念なことに、彼女の目は、マジだ。
格子状の部分に片足を引っ掛け、さあ登るぞとイブは勢いを付けるべく身構えた。
「だいたいこんなに可愛いイブちゃんが来たってのに、迎えの一つも無けりゃ門も開いてないとか、こっちが悪いんだもん。仕方ないよねー」
「だったら便りの一つくらい寄越しなさいよ、この非常識人」
弾みをつけて半分浮き上がっていたイブの身体は、何処からともなく飛んできた鋭い一喝で途端に元の位置に戻った。
細かい格子の隙間から中を覗いてみると、いつの間にかそれまで無人だった中庭の奥から、細い人影が一つこちらに歩み寄って来ているのが目に飛び込んできた。
遠くともその姿をすぐに認識したイブは、門にかけた片足を下ろして子供の様に飛び跳ねる。
ガシャガシャと門をうるさく揺らすイブを眺める人影が、顔をしかめるのも気にしない。
「入れて入れて―。イブちゃんの御来訪だよーん!」
「うるさい!」
くわっ!と恐い顔で怒声を放つその人が門に近付けば……今まで沈黙を貫いていた門が独りでに口を開き始めた。
よく見れば分かる事だが、門の何処にも鍵らしきものは最初から付いていない。おいでませと言わんばかりに開ききった門をイブは悠々と抜けると、腕を組んだ仁王立ちで待ち構えていたお迎えの人…その少女に、人懐っこいにっこりとした笑顔を向けた。
「いやっほーいドール。元気ー?あたしは元気だよー」
久しぶりの会合…にも関わらず、せっかくの可愛らしい顔だというのに眉間にしわを寄せた目の前の少女は、イブの太陽の如き陽気に呆れながらも苦笑を浮かべた。
「…あんたは見りゃ分かるわよ………ええ、それなりに元気よ」