流華の楔





突然の宣告に戸惑いつつも、和早は木刀を降ろす。




「ありがとうございます」



和早は緩やかに頭を下げ、それから薄く微笑んだ。




「………!」



土方はそれを見るなり固まる。

野次馬は和早の後方に集まっているから見えないだろうが、彼女の笑みは殺人的だった。


仮面のような表情の彼女と相対してきた土方にとっては、なおのこと。






「いやぁ……すごいな新崎君。トシもなかなか良い立ち回りだったぞ!」



めでたしめでたし、と二人の肩を容赦なく叩く近藤。


これが、冗談抜きで痛かった。





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