あの雨の日、きみの想いに涙した。
そんなことを思いながら電車に揺られ、あっという間に香月駅に着いた。
俺は電車を降りて改札口に向かっていると、人混みの中に見覚えのある後ろ姿が。その小さい背中はいつもと様子がおかしい。
急いで追いかけると、その人物はドンッとすれ違う人にぶつかってよろけたのが見えた。俺は間一髪のところで間に合い後ろに倒れそうになる体で受け止める。
「あ、すいませ……」
「……どこか具合でも悪いの?」
俺の声にビックリしたのか慌てて振り向き、青木はやっと受け止めたのが俺だとわかったみたいだ。
「冴木くん……」
青木の顔を見た瞬間、やっぱりいつもと様子がおかしいことに気づいた。
顔は赤く火照って目は少し虚(うつ)ろ。
「……もしかして風邪?」
おそるおそる聞くと青木は「今朝からちょっと……」と苦笑いを浮かべた。
青木が風邪をひいた原因はひとつ。たぶん昨日雨の中で外にいたからだと思う。途中で雨は止んだけどけっこう肌寒かったし。