あの雨の日、きみの想いに涙した。
「熱とかは?」
青木は普段どおりの自分を演じていたけど、相当風邪がツラそうだ。
「うーん。朝はなかったけど今はわからないや」
俺に気を遣って曖昧な答えしか返ってこないし。
俺は滅多に風邪なんてひかないし、熱もあまり出ない。だけど青木の顔はどう見ても熱がある顔だ。
「薬とか家にある?」
「……ないけど、たぶん寝てれば治るよ」
寝てれば治るものなのか?いや、治らないだろ。それにたしか青木はひとり暮らしのはず。俺は暫く考えるように無言になった。そして……。
「……う、うちに来れば?」
以前の俺からは考えられない言葉。だけど、どうしても熱がある青木をひとりにしておけなかった。
青木は予想外の言葉に「え……でも……」と戸惑いを見せる。
「いや、俺だって前に青木に看病してもらったことあるし……」
俺は顔をポリポリ掻きながらボソッと言った。怪我をしたとき青木は傷を消毒してくれたり、ご飯を作ってくれた。
あの時の恩返しにしては小さいけど、青木のために俺だってなにかをしたい。まあ、そんなのただの建前で本当は心配なだけ。俺がだれかを心配する日がくるなんてな。