JKママ
彼女の正面でピタリと立ち止まる。




「わ、私、結城愛って言うの。……詔ちゃん…だよね?よろしく……」





あたしは差し出された手を思い切り振り払った。
愛は「キャッ」と可愛らしい声を上げる。



苛立ちはそれによって更に強まる。





「……同い年のお母さん…………??ふざけんじゃねぇよ……。


あたしはアンタなんか認めないからっっ!!」



足元に置いてあったゴミ箱を力の限り蹴飛ばすと、あたしは後ろを振り向く事無く家を飛び出した。





「みこと!!何処行くんだよっ!!」

「みこと!!」






背後から、海斗と陽斗が必死に叫ぶ声が聞こえるが、一切立ち止まらず、逆にスピードを上げてふたりを振り切る。



生ぬるい初夏の風を感じながら、あたしの眼からは熱いものが毀れ落ちた。
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