亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~





何処まで続いているのか分からない、長い長い廊下。
ノアの力で城内部の空間が複雑に捩曲げられているせいだろう。何処へ行っても景色が変わらない。どんなに歩いても新たな場所に行く事は出来ない様で、結局は元居た部屋に辿り着いてしまう。


底冷えする廊下をひたすら歩き、ユノはとうとう部屋の扉の前でしゃがみ込んでいるレトに追い付いた。
こちらに気が付いている筈なのだが、レトは何か探し物をしているのか、自分に背を向けたまま冷たい床のあちこちを見回していた。

数歩離れた所で立ち止まり、ユノはじっと…だがやはり不機嫌そうな表情で彼を見詰める。

「………何しているんだい?」

若干声音の低いユノの問い掛けに対し、数秒の間を置いてレトはポツリと呟いた。


「―――……アルバスが…何処にも…いないんだ……」

「…アルバスが…?」

…言われてみれば確かに。あの神出鬼没の、少々うるさい雛鳥の姿が無い。
気が付けば傍にいて、気が付けば何処かに失踪しているアルバス。昨夜はレトと共に部屋の前で就寝したあの雛鳥は、今朝起きた時、まだ熟睡していたためレトがそのまま放置していた。

姿が見えない事に不安を感じたが…自給自足を極めたアルバスのことである。きっと、とっくの昔に目が覚めてまた音程の外れた鼻歌を歌いながら城内を散策しているに違いない。


「………アルバスなら…多分大丈夫だよ。……ひょっこり戻ってくるよ…」

「………………うん…」

「………それより…」


…ふと、ユノは改めてレトに向き直った。
眉間にしわを寄せ、強気な態度を見せるかの様に両手を腰に添える。



「………ねぇ、レト」

「………………何…?」







「………独りで何でも抱えようとするのは、止めてくれないかい?」
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