亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
「だって…!!……だって………だっ………て………………本当は……凄く悲しいよ……悲しい…よ…………でも…………泣くなって…父さんが……言って……たから…………だから僕は………僕は……泣いたら……駄目……なのに…」
本当は。
本当は。
本当は…悲しくて、仕方ない。
いつの間にか出来ていた、胸の辺りの、妙な喪失感。穴が、空いているんだ。さっきまで無かった筈なのに。
いつの間にか。穴が。
大きな。穴が。
気持ちの悪い感情が、流れる涙が、全部そこから溢れ出てくる。流れ込んでいるのかもしれない。僕の中に全部、入っているのかもしれない。悲しいって、何だろう。
悲しいって、身体から生まれてくるのかな。
苦しくて、辛くて、仕方ない。
本当は声を大にして泣き喚きたいけれど。
父さんは、僕が泣くと悲しむから。
だからさっきも、泣かないように頑張ったけれど。だけど。父さんがいなくなってからは、もう抑えが、利かなくて。
「……………僕………僕……泣かないって、決めたのに………でもこんな…こんなに……。…………僕…駄目なんだ……全然、駄目…なんだ………泣いたら…駄目なのに………僕…しっかり…しないといけないのに………。…………僕のことだから……ユノには関係、無い……………関係、無いったら……!」
僕は、狩人だから。
強くなくては、いけないから。
だから。
ユノには、関係…。
「―――僕が、許すよ」
低い、感情を押し殺した様な声。
涙で歪んだ視界で、よく見えなかったが。
自分を睨みつけながら堂々と仁王立ちするユノは……今にも泣きそうなくらい、目尻に涙の珠を溜めていた。
…まさか彼が、そんな表情を浮かべるなど、泣いているなど、思いもしなかったレトは半ば茫然とユノを見詰めた。