亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

「―――……一つ、問う。………これは、何の真似だ…」


自分と彼等は、仲間同士。本来ならある筈の無い不気味な沈黙と言い知れぬ緊張感が、両者の間に蔓延る。
剣の切っ先を向けたまま少しずつにじり寄ってくる同士に疑問を投げ付けたが、彼等の口は固く結ばれたままだった。


疑問は次第に、勝手な憶測を生み出していく。



出来れば信じたくない、正解であってほしくない…憶測に。



「………これは…お前達の仕業なのか…?……………………誰の命だ……………答えろ…!」








怒気を露わにして叫べば、途端、問答無用とばかりに同士達の刃が翻った。
一気に距離を詰めてくる、仲間の剣。


いや、あれはもう…仲間ではない。




あれは、本気の目だ。




殺気の、塊だ。

















「―――…愚か者、どもが…!!」

考えてみれば、そうだ。自分は元々独りで。
仲間なんて、いないではないか。



…下らない自己嫌悪を胸中で呟きながら、ウルガは松明を投げ捨てた。




























「―――…アイラ様……今、兵士が…」

「ああ、見たよ。…彼、誰だったかな?……確か…ウルガ、とかいったかな。………彼のことは気にしなくてもいいだろう。多分、彼は関わっていないだろうし、彼自身何も知らないさ。…それに、彼はしぶといだろうから、いい囮になってくれるかもしれない。…お前もその方が良いだろう、カイ。………人殺しをしなくて済むのだから」

「………」





人気の無い、妙に静かな薄暗い廊下の真ん中を、アイラとカイの二つのシルエットが歩いていく。
途中、何処かの脇道で一人の兵士…ウルガに姿を見られたが、まぁ気にすることはないだろう。

少しの間を置いて、過ぎた後方から剣を交える騒音が聞こえてきたことからして…こちらの予想通り、否、期待通りに彼は働いてくれているらしい。
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