亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
「……とにかく、今は無視だ。………神声塔までまだ距離があるな………急ぐぞ。………俺達が入手している情報は………捜索している王族が母親と子供の親子連れって事だけだからな………のんびりしていると……後から来たこいつらに出し抜かれてしまう…」
そう言ってリストは地図から目を外し、足元に横たわる見知らぬ男の脇腹を軽く蹴った。
三人の武装した男が、イブとリストの足元で倒れ伏していた。
…皆一様に目を白黒させ、ぼんやりと空を見上げたままパクパクと口を開けたり閉じたりしている。
「………街でな―んか…親子の事を聞き回ってる不審な輩がいるなぁ~と思ったら………なんだ…バリアン兵士じゃないの………突っ突いてみて正解だった~」
「………突っ突くってレベルじゃなかったがな…」
本の数分前。
…あれ怪しい、と急に言い出したイブがこの武装した男ら三人を街から出るまでつけ始め、郊外で、「そこのマッチョなおじ…お兄さん方~」とハートを飛ばしながら近寄るや否や、三人全員にアッパーを食らわせ、終いには魔術を吹き込んだ。
一度吹き込まれれば、しばらくは精神異常者の様におかしくなってしまうちょっと恐ろしいイブの魔術にやられた彼等。
先程から、ブツブツと訳の分からない独り言を呟いている。
何を探していたのかと問えば、彼等は……。
「…………………王、族…………王………………族…………………………女と…子供の親子の……………王族……を………」
「………バリアン兵士も捜している………が………穏やかじゃないな…」
ここ最近蔓延していた殺気は、多分彼等バリアン兵士達のものだろう。