亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
長年、生まれ故郷を転々と歩いているにも関わらず、地理に疎く、地図があっても何処が何処だか記憶出来ないレトだが………その名所だけは、脳裏に刻まれている。
―――『禁断の地』。
………街の民の中でも、狩人の世界でも、その場所は有名な場所だ。
………決して、近付いてはいけない地。
『禁断の地』と聞いて誰もが最初に思い、口にする事だった。
いつからそんな名前で呼ばれる様になったのかは分からない。
その地がどんな場所なのかも、正直な話、全く知らない。
ただそこには……。
………『神』が眠る、と言われている。
そこに眠る『神』とは何なのだろうか?
何かの比喩かもしれないが………何にしても、あまりいいものではない事は確かだろう。
御告げの内容からすると、その『禁断の地』には城があるというのが分かった。
………レト自身、この国の歴史はあまり知らないが……恐らく、数十年前の戦火で廃れてしまったデイファレトの城だろう。
………どんなお城なのだろうか。
………神の御告げは、そんな危険極まりない……得体の知れない地に行けという無理難題。
しかしその廃墟と化した城へ行き、御告げ通りにユノが王として君臨せねばならないとならば………どんなに嫌でも、行かねばならないだろう。
………一寸先は闇、暗中模索といった状況の中、何処からか湧き上がる不安の塊に、もはや溜め息も出ない程だが………問題はそれだけではない。