亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~








「………………御告げの中にあった……『“戦士の月”が昇るまでに』……というのはどういう意味なのかしら…?………その月が、時間を表しているのは分かるのだけど…」

「………『目覚めの災い』っていうのも気になる………」


暗号めいた意味の分からない単語に、サリッサとユノは首を傾げる。

……特に、その『戦士の月』が分からない以上、いつまでに城に辿り着けばいいのか分からない。


頭を抱えるそんな二人に、しばらく無言だったザイが口を開いた。

「………………『戦士の月』は恐らく……大昔に狩人の中で使われていた言葉だろう…。確か、月の満ち欠けを表すものだ。……古過ぎて今はそんな表現はしないが……」

傍らでアルバスを摘んで振り回しながら座っていたレトも、思い出した様に会話に割って入ってきた。


「…うん………弓張月だったよね……」

「弓張月?…それって半月を表す……上弦か下弦の月だけど………どうして『戦士の月』が弓張月なの?」

「………えと……何でだっけ、父さん……」

…僕知らない、と答えを欲する様に父の方に振り返るレトに、ザイは「覚えなさい」と呟きながらその額を小突いた。



「………『戦士』とは、このデイファレトでは本来、我等狩人を示すのだ。……一人前の狩人である事を示す、狩人の象徴………それが、弓だ。………我等狩人は一人前になると、『神木』と呼ばれる木から弓を賜るのだ。………私とレトが扱う弓も、その木から頂いたものだ。………その狩人の…戦士の証。……だから『戦士の月』は、弓張月なのだ…」

「………弓を引いて構えた時の形が……半月みたいでしょう?」

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