亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
そう言って弓を構える振りをするレト。



…確かに。

そう言われてみれば、その形は欠けた月の様に緩やかな弧を描いている。



…なんとか『戦士の月』の謎が解けた。
これで残された時間がどのくらいなのかがおおよそ分かる。


「………弓張月って…上弦の月と下弦の月があるんだよね?………どっちをさしているのかな…?」


上弦の月は、月の始まり辺り……半月の満月よりも前だ。

対し下弦の月は、月の終わり辺り……満月よりも後になる。





………この月に入ってから……何日経っているだろうか…?





「………つい数日前……上弦はとうに越した筈だ。………あと何日かすれば…もうすぐ満月になる。…………………となると、御告げにあった期日は、下弦の月だろう………」


「………三週間……いや…二週間とちょっと……くらい…かな……」







………あって三週間。




………そんなに時間は、無い。

その間に無事、遥か彼方の城まで辿り着けるだろうか…?





明確になった時間は、これから先の不安の色をより一層濃くするだけだった。


サリッサなど、唇をキュッと結び、やけに曇った表情を浮かべている。







「………この月なのかな…?次の月って事はないのかな…?」

もしかしたら、今月とは限らないかもしれない。
御告げではあまり、その辺りの詳細を言っていなかった。
……僅かな希望を胸に、思い切って聞いてみたレトだったが………無情にも、ザイは首を左右に振った。



「………次の月からは、年の終わりまで……新月の時期に入る。…………月は出ない……やはり、この月だろう……」

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