亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~









次なる王として、希望の未来として………期待され、王としての自意識を目覚めさせようとする周りの者達。





籠の中の鳥。

歌いたくもない、歌っても意味なんて無い歌を、覚えさせられた。



歌えば、周りは喜ぶ。歌えば、周りは叱らない。
歌えば。





…嘯けば。




















「………ちやほやされたよ。皆…皆………深々と頭を下げてさ………僕が命じた事は何でも聞くし、何でも叶えてくれた。あれが欲しい、これが欲しいと言えば、望みの物は全部目の前に揃った。………………滑稽だったさ。馬鹿みたいに皆動いてくれてね…」

「……凄い…ね」

ほう…と、相変わらず無表情だが内心では彼への待遇にとても驚いていたレト。
…対し、「そう?」と何でも無いかの様にユノは首を傾げた。



「………………でもね………ある時………ふと、思ったんだ。………皆、何かに取り憑かれた様に僕を褒めちぎって、どんな我が儘も聞いて、王にもなっていないのに王様、陛下って呼んできて………………だけど………………それもこれも全部………僕が、次の王だから…」



語尾を小さくしていきながら、彼もまた、抱えた膝に顔を埋め、より縮こまっていく。

その姿に、いつもの天真爛漫な彼の面影は無い。


明るい、太陽の如き彼の………裏の、暗がりの部分を見ている気がした。






暗闇に、溶けてしまいそうだった。












「………僕が王族で、王になる人間だから……皆大切にしてくれる。………僕は王になるために生きている。王になるためだけに……生きている。それ以外………………何も無い」
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